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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
五
顔つきも娘らしくふっくりとして、小麦色の肌は磨いたように冴えてみえた。
「まるで人が違ったようね」
つなはこう云って、つくづくと見た。
「それで、――いまどうしておいでなの」
五
「あたしのことはあとでお話ししますわ」
とおちづは云った。
「それよりか大変な事があって、それでいそいで来たんです」
「そう、では中へ入りましょう」
つなはこう云って、おちづといっしょに寮の中へ入った。
借りている住居へゆく途中、おちづは用件を話しだしたが、それを半ばまで聞かないうちに、つなはああと叫び声をあげた。
「それで、それでどうしたの」
と彼女は思わず立停った。
「あたし迷ったんです」
とおちづは続けた。
「誰か石倉の中に押籠められているに違いない、その人が助けてもらうために、鼠の首へ手紙を付けたんでしょう、でも、あたしには字が読めないし、うっかり升屋の人にも読んでもらえないでしょう、だって升屋の石倉の中にいるんですもの、みんなその事を知っているかもしれませんから」
「よくそこに気がついたわね」
「ですから、――それはゆうべのことだったんですけれど、姐さんと仲町の家、――これはあとでお話ししますわ、仲町の家へ帰ってから、あたし船宇というお茶屋へいって、おかみさんに読んでもらったんです」