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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
六
ちょうど十一日の夕方で、そのとき松吉に升屋から座敷が掛って来たので、着替えを持って迎えにゆくところだった。升屋といえば、たいてい岡さまに定っている。そして、万三郎もそのとき升屋へいったのであろう。
――これはきっと岡さまに関係がある。
こう気がついて、やはり姐さんに手紙を見せなくってよかったと思った。
「とにかく兄上さまたちにおみせしましょう、いっしょにいらっしゃい」
六
徹之助が初めに手紙を読み、次いで休之助からつなにと渡された。
文字がかすれているので、ところどころ判読に苦しんだが、――覆面の武士と対談するなり、すぐに偽者だということを看破され、一人に手傷を負わせたが、ついに捕えられた、ということを、簡単に記したあと、
――自分はいま石倉の中に押籠められているが、見廻りに来る番士たちの話から察すると、かれらは近く事を起こすらしい、それには左の理由がある。
一、紀州田辺の貯蔵所が、加波山と前後して焼払われたこと。
二、老中の圧迫がしだいに強くなり、このままでは自滅するおそれのあること。
三、甲府で早急に挙兵し、その動揺に乗じて諸侯を抱き込む策を立てたらしいこと。