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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

四

半次はすぐに去った。

四

「ちょっと云いにくいですが」

と万三郎は言葉を続けた。

「もしこれが実現するとすれば、単に政権の顛覆というだけでは済まないでしょう」

「三郎でもそれがわかるか」

「もし、この調書にまちがいがなければ、この日本という国を」

万三郎は口ごもった。徹之助は弟の眼を見つめながら促した。

「怖れることはない、云ったらいいじゃないか」

「この日本という国を異国人の手に売る、ということになるんじゃありませんか」

「おまえにもそれがわかるか」

徹之助は云った。

「これだけのものを見、私の云うことを聞いただけで、三郎にもそれがわかるんだな、――そうなんだ、しかもこれがある程度まで進捗しているということは、もう疑う余地のない事実なんだ、われわれが今日まで探索したところでは、探索して得た資料を総合したところでは、どうしてもそういう結論が出てくるんだ」

「私は頭がちらくらしてきた」

万三郎は額を撫でた。

「いったいこれは、どういう経路からどうして、誰が端緒を掴んだんですか」

「休之助だよ」

徹之助はこう云って、脇にある小机の抽出から、四五枚の二朱銀を取りだし、万三郎の前へ並べてみせた。