轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
「それ、おめえも一服やんねえ」
年上の男は、若いのにきせるを与えた。
このとき、――深編笠をかぶった旅装の侍が一人、かれらの背後にある藪の蔭へ近よって来た。街道から跟けて来たらしいが、もちろん人足どもは気付かなかった。
「日が長くなったな、助」と年上のほうが云った。
「もうかれこれ五時だろうが、まだこんなに明るいぜ」
「だが昏れるとなると早いぜ、あにい、山ぐには日が落ちるとすぐまっ暗だ」
「旅の客のいそぐ時刻か」
わけもないことを云っている。
明らかに、駕籠の中の客に聞かせているのである。おそらく客がじれるのを待って、酒手をねだるつもりだろう、――が、駕籠の中はしんとしていた。
二人は待ちくたびれたらしい。
「ええお客さん」とあにいのほうが云った。
「此処は坂折様といって、小せえけど古い由緒のあるお宮さんですがひとつお参りをなすっちゃいかがですか」
答えはなかった。
「もしお客さん、――」
「聞えねえのかい、お客さん」
助と呼ばれた若いのが云った。しかし、駕籠はしんとして、答える声もせず、みしりとも動かなかった。
「――寝ちゃったのかな」
助があにいを見た。あにいはきせるの吸殻をはたき、立っていって、駕籠の垂れをあげた。