轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
ているんだぜ」
かよはぎょっとした。
ふしぎなことであるが、躯も手入らず、――と云われたことが、自分のもっとも弱いところを指摘されたように感じたのである。かよは狼狽した、ごく短い瞬間ではあったが、蝮の八兵衛という相手に対して、自分がまったく無力な存在のように思われ、顔色の変るのがわかった。
しかしそのとき、かれらの背後にある藪の蔭で、声だかに笑いだす者があった。
「――誰だ」
蝮の八兵衛はとび上った。若い助という人足もとびあがり、息杖を取って身構えた。
高笑いはなお続いた。
かよもそっちへ振返った。その笑い声には聞き覚えがある、慥かに、はっきりと覚えのある笑い声であった。
「――野郎、誰だ」八兵衛が赤くなって喚いた。
藪の端をまわって、深編笠の侍がこっちへ出て来た。笠はかぶったまま、大股に八兵衛の前へやって来て云った。
「きさまなかなかいい眼を持っているな、さっきから聞いていたが、この婦人を見抜いた眼力も慥かなものだ」
「な、なにょうぬかしやがる」
「駕籠かき人足より観相占易でもしたらどうだ、そのほうが汗もかかないし、人に敬われて儲かるぞ」
助は歯を剥いた。