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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「わかりました」

「今われわれにとっての第一義は朱雀だ、私情に関することはすべて第二第三だ、不可抗力ではあるが休之助はすでに妻と義理の父を死なせているぞ」

「しかし、つなさんはまだ生きているかもしれないでしょう」

「かれらがもしあの娘を誘拐したとすれば」

と徹之助が冷やかに云った。

「それはつなそのものが必要なのではなく、つなを囮にしてわれわれをおびき寄せるためだ、――つなは大丈夫だ、あれはなにも知らないし、かれらも無用に人を殺すほど狂人ではあるまい、まあおちつけ、万三郎」

こう云っているところへ、八人の侍たちがやって来た。

かれらは若いので二十歳ぐらい、いちばん年長者で四十歳ぐらいだろう。もう中谷兵馬から聞いていたとみえて、入って来るなりみんな万三郎に会釈をした。

「村野と梶原がみえないな」

「二人はまだ帰りません」

と中谷が答えた。徹之助は頷いて、それからその十人を紹介した。

小出辰弥  井伊家の臣

牧田数馬  大久保家の臣

村野伊平  二の丸大目付与力

林市郎兵衛 小普請組

斧田又平  同

沢野雄之助 同

太田嘉助  八丁堀与力の二男

梶原大九郎 町奉行与力

添島公之進 同