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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

徹之助は手文庫の中から、その訳文を取り出してそこへ披いた。休之助は指で文面をさしながら音読した。

「舶送の手順よし、――それからここの、武器庫は多く散在せしめ厳重に秘匿のこと肝要、これですが、私は浜屋敷へ運び込んだのは、この武器というやつだと思うんです」

「およそどういう、――」

「向うから輸送して来るんですからまず鉄砲でしょう、鉄砲と弾薬、そうみて間違いないと思いますね」

徹之助は弟の顔を見た。

「しかし浜屋敷には置けないだろう」

「むろん置けません、運び出して武器庫というのへ隠しますね」

休之助は強い調子で云った。

「おそらく船は数カ所の港で陸揚げするでしょう、そうして分散された所在の武器庫へ運び込まれるのです、浜屋敷へ入れたのは、この関東のどこかにも武器庫のある証拠だと思います」

「すると運び出すときに」

「いや、もうすでに運び出していたんです」

「その荷をか」

「そうなんです」

休之助は云った。

「私は海手の監視に気をとられていましたが、大久保家の者の話によると、紀州から来た蜜柑を上屋敷へ送るのだといって、相当の荷を三日にわたって積出していたそうです」

「蜜柑もあったわけだな」