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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

六

とかよは続けた。

「つなさんは気性が勝っているうえに実行力があるんです、小太刀が上手だということは御存じでしょ、わたくしはまた音曲や踊りが好きなほうですし、なにより甲野に養われている躯なんですから、どうしたってかなやしません、いざとなればひきさがって、独りで指をくわえているよりしかたがなかったんです」

そのうちに万三郎から手紙が来た。

――つなを貰ってもいい。

というあの手紙である。休之助はその手紙をみんなのいる前で発表した。それは、つなと同様にかよが万三郎にあこがれている、ということに気づいていたからである。要するにかよに諦めろという意味から、みんなの前で発表したようであった。

「休之助さまのお口ぶりでは、慥かにそのようでした、でもそのとき却ってわたくしは決心しましたわ」

とかよは云った。

「諦めるものか、決して諦めなんかしない、万三郎さまはあたしのものだ、どんなことをしたって、きっとあたしのものにしてみせる、――そう心に誓いましたわ」

かよの頬にさっと血がのぼった。眼はふたたびきらきらと燃えはじめた。

「これでおわかりになったでしょ、あんなにひどいことをされても、あたしが怒らなかったわけ……」