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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
黄昏の色が濃くなっているので、よく見分けはつかないが、三人ともまるで知らない人間であった。かれらは道へ出ると、そのまま北へ向って大股に歩きだした。
「おかしなやつらだな」
万三郎はこう呟いて、かれらの姿が見えなくなるまで見送り、足早にあとへ戻って、館林へゆく街道へと道をそらした。
結城へゆくには、粕壁から、杉戸、栗橋というのが順路である。もしかして跟けられたときの用意に、いちおう熊谷まで廻り道をしたのであるが、こうなればその必要がなくなったわけで、彼は持田という合の宿までゆきそこで泊った。
明くる日、万三郎は川俣の渡し場から、舟で利根川を下り、午ちょっと過ぎに関宿へ着いた。川を渡ると境の町である、そこで午の食事を済ませようと、茶店を物色しているうち、その一軒から二人の侍がとび出して来て彼を呼び止めた。
――昨日のやつらか。
万三郎はどきっとしたが、笠をかぶったまま振返った。
「私共は代官所の者です」
と一人が前へ来て云った。
四
代官所と聞いて万三郎はほっとした。
なるほど代官所あたりの下役人らしく、やぼったい身装だし、眼ばかりぎょろぎょろしているが、二人とも愚鈍そうな男だった。