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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
休之助はかすかに唸った。
「役所や役人は金持とか勢力のある者に付くだ、わしらから搾り取った金で生きていながら、力のある者や富豪のために働くだ、決して弱い者や貧乏人の味方じゃあねえ、決してだ、――そのことは、自分が貧乏になり困窮してみればすぐにわかる、そう思えねえだかね、お武家さん」
休之助には返辞ができなかったし、老人も返辞を期待していなかったらしい。諦めたような溜息をついて、さらに続けた。
「おまけに、古木は江戸にも店と住居があって、どういう因縁かわからねえだが、紀州家のお屋敷へ親しく出入りしている、大納言さまの茶席へも出るほどだっていうでね、――御三家さまとそんなあいだがらなら、将軍さまへ直訴をしたってむだなこんだ、そう思ってからわしはすっかり諦めただよ」
「話をそらすようだが」
と休之助は坐り直した。
「その古木という者が、紀州家へ親しく出入りしているというのは事実か」
六
五郎兵衛は頷いた。
「それはもう、結城では知らない者はないくらいでさ、いつのことだったか、紀州さまが日光へ御参拝のとき、帰りに古木へお寄りなすって、三日も泊ってゆきなすったくれえだからね」