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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「いんや云わねえです」

「一昨日、この二人をみつけたのはそのほうではないか」

「それはおらですが、この小屋をみつけてから云おうと思っていたです」

「なぜ云わなかった」

「だって一昨日はただお二人を見かけただけだし、観音谷を探索に来ただか、加波山神社へ参詣に来ただかわからねえし、それに、早まって饒舌って、ひとに手柄を取られちゃいけねえと思ったもんだで」

休之助は振返った。

人の足音がしたと思ったら、斧田又平が帰ったのである。彼は山薯掘りといった恰好で、また事実、背負い籠の中に三本ばかり、山薯を掘って持っていたが、それを鋤といっしょに土間へおろすと、(曲者の姿が見えなかったのだろう)休之助のほうへ来ながら昂奮した声で云った。

「荷駄が来るようです、結城からいましがた馬が来まして」

「斧田さん、――」

と万三郎が遮って、曲者のほうを指さした。又平は眼をみはって、口をつぐんだ。

「いや構わない」

休之助が云った。

「結城からどうしたって」

「あの晩の女が、――」

と又平は云った。

「かよというんですか、あの女が五人の侍たちと馬で来て、弁天谷へ登ってゆくのを見たんです」

「かよが来たって」