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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
「云わない、どうやら知らないというのは事実らしい、ただ一つだけ新しいことを白状した」
「なんです」
「深川のさる料亭で、月に二度ずつ日を定めて会っていた人間があるそうだ」
「紀伊家の者でしょうか」
「そうかも知れない、――かたく秘密が守られていたところをみると、同家中でありながら屋敷の外で密会する、ということも不自然ではない」
「しかし、顔でわかるでしょう」
「相手はいつも覆面しているということだ」
休之助はちょっと考えて、
「そいつを押えてみましょう」
「おれもそう思う、が、――」
徹之助が云いかけたとき、万三郎が「あれっ」と頓狂な声をあげた。
「これはなんです、これを読みましたか兄上、甲斐のくににも貯蔵所があるというじゃありませんか」
「静かにしないか」
「しかしここにちゃんと書いてありますよ」
「わかっている」
徹之助が頷いた。休之助はうんざりしたような眼で弟を見た。徹之助が云った。
「甲府城の近郊に貯蔵所のあることは、つい数日まえにわかったのだ、が、われわれはそれより先にやらなければならないことがある」
四
「うかがいましょう、なにをやるんですか」
万三郎は坐り直した。