轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

木戸のこっちではなく、木戸を入った中にある。そっちへ入ってはいけないと云いながら、鳥舎を見て来いというのは矛盾しているが、女中はなにげなく云ったらしい。

「構やしないわ、夜だもの」

おちづは独りでそう云い、ちょっと舌を出して、木戸から中庭へ入っていった。

庭へ出るのは初めてであった。

松吉姐さんから、升屋の庭の豪奢なことは聞いていた。鞠場というのはどんなふうになっているのか、いちど見たいと思っていたし、築山へ登ると(夜ではしようがないが)富士山と筑波が見えるそうであった。一丈五尺もあるというその築山へも、いつか登ってみたいと考えていた。

鳥舎は二間四方くらいの大きさで、網が張ってあり、中には十幾種かの鳥が飼ってあった。鷺、鴨、鷭、しぎ、雁などもいるそうである。小鳥にも珍しいのがいると、姐さんが話していた。

「いつかの赤い雀もいるかしら」

独り言を云いながら、そっと鳥舎へ近づいていった。

月のきれいな、春らしい晩であった。

雲が流れているので、ときどき暗くなるが、雲が去ると、月の光りであたりがよく見えた。

鳥舎の中はひっそりとして、鳥どもは本当に眠っていた。