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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「むろんですとも、なぜです」

休之助が訝しそうに反問した。つなはきっぱりと云った。

「わたくし、それはあんまりだと思います」

「なにがあんまりです」

「万三郎さまは敵の手で殺されてしまいます、それでもいいのでしょうか」

「万三郎が殺されるんですって」

「――かよさんがそう申しました、あの人は敵の一味ですから、敵の内情もよく知っています」

「貴女はかよの処へいったのか」

「まいりました」

「なんのために」

休之助はかっとなった。つなは恐れるけしきもなく、休之助の眼を見返しながら云った。

「万三郎さまの事が知りたかったからです、もしかしてあの人のところへなにか消息がありはしないかと思ったからですわ」

「それでどうだったんだ」

休之助は眼を怒らせた。

七

「かよさんはなにも知りませんでした」

とつなは続けた。

「そして事実を話すと、すっかり取乱して、万三郎さまは殺されるに違いない、と云いました、升屋の会合はたいそう厳重なもので、一味の者でも出席を許されるのはごく稀だし、誰と誰が会うか、まったく秘密になっている、だから、そこへ偽って入って捉まれば、生かして帰す筈は決してないと云いましたわ」