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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
昼夜二交代で、一人は火繩をかけた銃を持っている、食事その他の用で出入りするときには、銃を持ったほうが、絶えず万三郎に覘いをつけて、
――動くなよ、一歩でも動くと射つぞ。
などと、度たび威嚇するのであった。
彼は初めの三日で、脱出することを諦めた、自分が帰らなければ、兄たちがなにか手段を講ずるだろうと思った。
しかし、交代する番士たちの会話を聞いて、一味が甲府で事を起こそうとしているらしい、という情勢がわかると、そのまま安閑としてはいられなかった。
そこでいろいろ脱出を計ってみたが、自分がぬけ出すことは不可能であった。だが不可能では済まない、彼は考えられるだけの手段を考え、実際ぬけ出す隙がないかどうかを、飽きずにくふうし続けた。
そうして、鼠を使う方法を思いついたのであった。
天床の一隅に隙間のあることは、押籠められたときからわかっていた。昼のうちは、そこから微かに外光が漏れるのである。――彼はそこを調べてみて、土台の石と石の間に、赤児の拳くらいの隙間のあるのを発見した。
――これが使えるぞ。
万三郎はそのとき独りでおどりあがった。
それから鼠を使うことを思いつき、手紙を首へ結びつけて、人の足音(番士の交代時間はわかっていた)がするたびに、その隙間から、紐をつけた「鼠の使者」