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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
「あとで大将から私のを貰いなさい、いろいろお世話になりましたね、お二人ともどうか気をつけて」
「早くしろ、三郎」
と休之助がどなった、万三郎が出て、仕切戸に鍵をかけると、中でどっちの権兵衛かが叫んだ。
「きさまら、逃げられやせんぞ」
三人はすばやく階段を登った。石倉を出たところに、太田嘉助が立っていた。そして出て来た三人に、向うを指さしてみせた。
松明の火が、ざっと数えて十五六、この石倉を取巻くように並んでいた。そして、そのあいだあいだに、刀や素槍の穂が、ぎらぎらと光るのが見えた。
――あの晩と同じだ。
万三郎はそう思い、
「気をつけろ、弓があるぞ」
と云いながら刀を抜いた。
休之助たち三人は充分に身支度をしていた。足拵えをし、襷、鉢巻に、袴の股立を取って、どんなにでも活躍ができる。が、万三郎はそうする暇がなかった。帯も袴の紐もきっちりとは緊っていないし、この家の鼻緒のゆるんだ庭草履をはいているだけだった。
――またこれで叱られるな。
そう思いながら、彼はぱっと草履をぬいだ。
五
「三郎、おれについてこい」
休之助が云った。
「太田は左、斧田は右だ、かたまるな」