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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
「それで、――休さんやつなという人は、いまどこにいるんですか」
「休之助は大久保加賀侯の邸内にいる、紀伊家の浜屋敷と堀を隔てた位置で、浜屋敷の海手の見張りについているのだ、つなは、――」
云いかけて、徹之助は向うを見やった。
畑跡のほうから、吹矢の筒を持った若者と、金杉の半次という少年の来るのが見えた。
万三郎はおおと云った。
「あの少年は知っていますよ」
「半次という浮浪児で、つなが使っている子供だ」
と徹之助が云った。
「つなは賢い娘だが、あの浮浪児の使えることをよく見込んだものだ、いつも浜屋敷の付近を暴れまわっていて、日頃から役に立ちそうだと思っていたそうだが、つなの見込んだ以上なのに驚いている」
「ではあの少年といっしょにいるんですかつなさんは」
「いやそれは、――」
二人がそこへ来た。半次も万三郎をすぐにそうと認めたらしい、まっ黒な顔でにこっと笑った。徹之助はその侍に弟をひきあわせた。
「お噂はうけたまわっていました。中谷兵馬です、どうぞよろしく」
若者は眼を細くしてこちらを見た。それから、持っている赤い雀を徹之助に示して、
「また一羽捕りました、籠へ入れてまいりますから」