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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「ごめんよ、ちい公」

肩から手を放しながら半次はじっとおちづを眺めた。

「あんなふうにして置いてきぼりにして悪かった、でもああするよりほかにしようがなかったんだ、勘弁しておくれね」

「いいのよ、こうしてまた会えたんだもの、勘弁するもなにもないわ、でもさぞ苦労なすったんでしょうね」

「おいらよりもおめえこそ」

こう云って、半次はふと訝しそうな眼をした。

「おめえすっかり変ったな」

二

「着物もきれいな物を着ているし、あたまの恰好やなんか、まるで」半次はちょっと吃った。

「まるで人違いがしちゃったぜ、さっき見たときは、どこかのお嬢さんみてえだった」

「いやだわ、半ちゃん、よしてよ」

おちづは赤くなり、袂をあげて打つまねをした。

「いくら髪や着物が変ったからって、あたしがお嬢さんにみえるわけがないじゃないの」

「だってそうみえたんだよ、――それに」

と彼は眩しそうな眼をした。

「それにおめえ大きくなったぜ」

「――そうお」

「大きくなったし、それになんてったらいいかわからねえけど、なんだかおとなになっちまったような気がするよ」

「あらいやだ、それは髪や着物のせいだわ」

「そりゃあそうさ、でも」