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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「くそっ、そん畜生、――」

などと拳で自分の腿を打ったりした。

「おいらがいたら、その畜生めら、一人残らず叩きのめして、足腰の利かねえようにしてやるんだったのに」

「あたしも半ちゃんがいてくれたらって、ずいぶん思ったことよ」

おちづは溜息をついた。

「でも松吉姐さんっていう、善い人に助けられたし、これからのことも見当がついたんだから、不幸が却って仕合せになったともいえるわ」

「これからの事って、――おめえこれから、どうしようっていうんだ」

「あたし松吉姐さんにみっちり仕込んでもらって、仲町第一の芸妓になるの、もう三味線や踊りのお稽古をしているんだけれど、どのお師匠さんも筋がいいって褒めてくれるわ」

「そうだろうな、きっと」

半次はべそをかいたような顔で、顔をそむけながら云った。

「おめえは利巧だし、勘がいいから、うん、きっと深川一の名妓になれるぜ」

三

「あんたもそう思ってくれて」

「――思うともさ」半次は頷いた。

「おめえは縹緻もいいし、気はしが利くし、きっと評判の名妓になれるよ、――でも、そうなるともう、おいらなんぞは側へも寄れなくなるなあ」

「なにを云うの半ちゃん」