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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

ちい坊はちい坊で一所懸命にやり、おまえはおまえで職を身につける、それがおまえたち二人には、いちばんふさわしいように思えるんだ、――ほかにも途があるかもしれないが、おまえたち自身でやることが、おまえたちにはいちばん似合っていると思う。――あとは花田の兄に相談すればいいし、私たちが帰って来れば私たちも相談相手になる、わかるだろう半次」

万三郎は二人を押しやった。

「さあ、朝までひと眠りするんだ、ちい坊をいじめるんじゃないぞ」

五

半次とおちづの二人を、つなに任せてから、万三郎も中谷兵馬と同じ部屋で横になった。

「紀州のほうはどうでした」

「案外なほど、楽でしたね」

兵馬は例によって、おちついた柔らかな口ぶりで、ゆっくりと話した。

「土地が狭いうえに、なにしろ領分の中のことですからかれらは公然とやっていたし、われわれが乗込もうとは夢にも思わなかったんでしょう、貯蔵所もすぐにわかったし、夜襲もじつにうまくゆきました」

「林さんがやられたのはそのときですか」

「いや、ずっとあとです」

兵馬はちょっと眼をつむった。

「田辺へは船でいったんですが、夜襲を終って脱出するとき、港のほうへ手が廻ったものですから、陸路を古座の港へぬけようとしたんです」