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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
荷駄の荷がおろされ、その繩が解かれようとした。そのとき馬上の武士が叫んだ。
「かかれ、斬死にだ」
そして彼自身は、馬にもろかくをいれ、銃口を向けている鉄砲組の中へだっと馬を乗り入れた。
だだーん。
硝煙がはしり、銃声がこだました。鉄砲組の一人が馬蹄にかけられ、馬は武士を乗せたまま西へと疾走した。武士は弾丸に当ったものかどうか、馬の背にぴったり伏していたが、落馬するようすもなく、通行を停められて見物していた群衆が、ばらばらと逃げ散る中を、みるみる道の彼方へと消え去った。
「道を塞げ、一人も逃がすな」
休之助が叫んだ。太田嘉助が刀を抜いた。そして乱闘が始まった。
銃声が起こったとき、後尾では兵馬がにやりと万三郎を見た。
「万三郎さんの老婆心もどうやらむだのようでしたな、貴方は見物していらっしゃい」
「私は荒れると云いましたよ」
「口ではね」
兵馬は刀を抜いた。組頭の与石藤十郎も、刀を抜きながら叫んだ。
「道を塞げ、逃がすな」
万三郎は拳をあげて振った。
――やっぱり斬合いか。
瞬時に乱闘が始まっていた。こうしたくはなかったのである。が、もうしようがなかった。彼もまた刀を抜いた。