轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

万三郎はそう思った。

彼は升屋の怪剣士が石黒半兵衛だと気づいたときから半兵衛がなにを決意しているか、およそ察していた。

――あの人はもう剣士として出直すつもりはない、それよりも、死所を求めるであろう。

そう思ったのである。

万三郎の情に負けたばかりではなく、自分の過誤にめざめたとき、それがすでに取返しのつかぬものであり、剣士としては、せめて死所を誤らぬだけが、残された道だと考えたであろう。――升屋へ斬り込んで来たときのすさまじい太刀さばきにも、その覚悟がうかがえたし、こんど同じような機会があれば、すすんで死所を求めるだろうと思った。

――あの人を死なせてはならない、どんなことがあっても、そんなふうに死なせてはならない。

万三郎はそう決心していた。

それで、兵馬から「怪剣士が、――」と聞いたとたん殆んど狼狽して駆けつけたのであるが、相手は彼の声を聞くなり、逃げるように身を隠した。

――やっぱりそうだ。

おそらく、相手のほうでも、自分の駆けつけた気持を察したに違いない。それでこちらの眼から自分を隠したのだ、ということが、万三郎には痛いほど切実に推察できた。