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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
彼は変った恰好をしていた。
古布を継ぎ合せた半纒に股引、草鞋ばきで古ぼけた大きな袋を肩にひっかけている、髭も月代も伸びているし町人髷で、手には割竹のべらぼうに長い箸を持っていた。
彼はいま拾い屋なのであった。
紙屑買いとは違って、路上や芥箱の中から物を拾うのである。当時の職業としては最も卑しく、殆んど乞食と同じようにみられていたが、そのなかには急に落魄した人間が多く、倒産した商人とか、道楽のはてにおちぶれた大店の主人とか、もっとしばしば浪人者がいるというぐあいであった。かれらはいつまた世に出るかわからないし、事実とつぜん元の身分にかえった例が少なくないので、世間ではかれらを卑しめながら、片面ではかれらに一目おくふうがあった。
「飯を食わしてくれ」
頬冠りをとりながら、万三郎は飯台に向って腰をかけた。
――板についてきた。
自分ではそう思った。めしをくわしてくれ、こうずばりとはなかなか云えないものである。彼は開業五日めであったが、江戸生れの江戸育ちで、下町っ子の調子ぐらいは心得ているつもりだった。
「なにをあげますか」
十二三の小女が来た。
「ぶっかけだ」