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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
かれらの道次はひどく緩慢で、朝十時に宿を発し、午後三時には宿に泊った。そうして小山の駅で日光街道をそれ、下総の結城へ入って荷を解いた。
――自分はいま結城の町の葛西屋という宿にいる、荷を解いたからには、この付近になにかあると思うので、怠らず監視しているが、誰か二人ばかり至急に援助に来てもらいたい。
そういう文面であった。
「誰かにすぐいってもらわなければならない」
徹之助がみんなを見た。
「万三郎をやりたいと思うが」
「三郎はどうしたんです」
休之助が眼を尖らせた。徹之助はあいまいに口を濁した。仲の良いくせに、この二人の弟はすぐ喧嘩をするのである。無断で出歩いているなどと知ったら、休之助は癇癪を起こすにきまっているので、徹之助はうっかりしたことは云えなかった。
「三郎もやるが、事情が急を要するから、この中で誰か一人すぐに出立してもらいたいのだ」
「私でよければまいります」
斧田又平が云った。休之助のほうがゆきたいらしい、義妹のつなの身が案じられるばかりでなく、なに事もひとまかせにできない性分だった。しかし徹之助は先手を打った。
「休之助にはほかに担当してもらうことがあるから、では斧田に頼むとしよう」