후리가나로 읽는 일본 고전
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
河口 慧海의 チベット旅行記(チベットりょこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 531,520자 · 1042화면
ということなしに暫く過しましたが、どうもただ苦しい方にばかり観念を奪われてはますます苦しくなる訳でありますから、まあここで本当に苦しいところを押し強く坐禅の妙境に入ってみようというような具合で自分の心を転じたです。するとその辺の場所の愉快なことも分りまして実に面白く感ずるところから五条の橋の上で坐禅された大燈国師の歌を思い出しました。その歌は
坐禅せば四条五条の橋の上
ゆききの人を深山木にして
というのでありますが私はその歌に応えるつもりで一つの腰折が出来ました。
坐禅せば高野ヶ原の草の上
ゆききの人も深山木もなし
こういうのでございますが大方大燈様が居られたならばあるいは破顔微笑されたかも知れません。あるいは叱咤の声と共に三十棒を喰わされたかも知れませんなど思うて、だんだんそういう観念が深くなるにつれて自分の苦しみも忘れ我と我が身を忘れたような始末になって来たところから不意とまた歌が出たという訳です。その時には愉快でした。その歌は
苦しめる我もなき身のゆきの原
法の光に解くる心は
というような訳でその観念の為にその夜は寒気の苦しみにも打たれず、また夜の明けぬにも頓着せずについ暁まで坐禅をそのままに押し通したというようなことでございました。