후리가나로 읽는 일본 고전
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
河口 慧海의 チベット旅行記(チベットりょこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 531,520자 · 1042화면
千仞の谷間の鬼
それからポカラを後にして北方に進みましたがなかなか嶮しい山で馬に乗れない場所が沢山あるのです。それゆえにまず馬をわざわざ谷間に廻して半日位歩いてまた馬に乗るというような都合にして行ったです。ある日の事私の荷持は先に立ち馬を導いてくれるものですから、私は別段心も留めず行く先々の事を考えつつ馬に乗って進んで行きますと自分の眼先に樹の枝が横たわって居ります。ハッと思ってその枝を避けようとする途端に馬は進む。私は仰向けになるという訳でとうとう馬から落ちてしまいました。幸いに馬も気がついたと見えて走り上らずにジーッと踏み止まり、私もまた手綱を放さずにしかと握って居りましたから、岩で痛く腰を打っただけで谷へは落ちませんでしたが、もしその時馬が驚いて駈け出すか、私が手綱を放しますと
千仞の谷間の鬼 と消えてしまったのでございます。これはいい塩梅だと思って立とうとするけれども、よほど酷く腰を打ったと見えてどうしても立つことが出来ない。で、その山の頂上まで十丁程ある所を下僕二人に負ぶさって昇りましたけれども、何分にも痛くて動けませんので二日ばかり山中に逗留いたし、幸いにカンプラチンキを持って居りましたから自分でよく腰を揉んでそれを塗ったり何かしたので、格別の事もなく治ってしまいました。