후리가나로 읽는 일본 고전
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
河口 慧海의 チベット旅行記(チベットりょこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 531,520자 · 1042화면
恩人に対する義務
そこで私は「御説法はよく分って居るけれども私はお説に従うことは出来ない。それは世界に対する善い事をして来たか知れんけれども、私はそんな感覚は少しも持って居らぬ。仏法の修行が充分出来て居るではなし、僅かにこの身を免れて来たからといって、世界に対する義務とか何とか書生の喜ぶような事をいって胡魔化そうとしても、私はお説に従うに忍びない事情がある。その忍びない事を実行せずして日本に帰ったからといって晏然として居られるものでない。たとい世界に対する義務を尽しても、自分が自分に対する義務すら尽すことが出来んようでは何にもならぬ。私が眼前に担うて居る
恩人に対する義務 を尽さずしてこの儘に日本へ帰り、世界に対し闇黒なるチベットの事情を明らかにして学者社会に功を現わす事があったと仮定しても、恐らくは天下後世日本の人は何というか知らんが、世界の人は日本人の誰某は恩人が獄屋に繋がれて非常な苦しみを受けて居るのを知りつつ打棄てて国に帰ってしまった。実に薄情なものである。ただおのれの功をなすばかりに急にして、人はどんな害に陥っても構わぬというのは日本人の気質でもあるかのようにいわれるのが残念である。