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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

その日、舟小屋へ帰った万三郎は、(和幸での事は除いて)かよについてあらましのことを斧田に話した。

「あんまり意外なのでわけがわからない、あの女がどうしてこんな処へ来たものか」

「たぶんわれわれでしょうね」

斧田又平は云った。

「われわれがこっちへ来たことを敵が感づいたんですよ、それとも、古木邸につなさんが檻禁されているとも考えられますね」

つなを捕えたので、かよが呼ばれたのではないか。と又平はいうのである。もしそうだとすれば、つなが古木家のどこかに檻禁されている、という証拠になるかもしれなかった。

「たぶんそのどちらかだろうな」

万三郎は頷いた。

「それからもう一つ、虎造という下男のことだが、いちど自分の住居へ来いと云ってから、五六日はだめだ、なにか片づける仕事があるから、それが済むまではよその者を入れることはできないと云った」

「おそらく紀州家の例の荷駄じゃあないでしょうか」

「例の荷駄だって、――」

「今日、古木家のうしろを歩いていますと、畑で二人の百姓が話していたんですが、あの屋敷の裏門から、いつも昏れ方になってからだそうですが、人と馬で、なにか荷物を運び出しているということでした」