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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
二
休之助はすぐどなりつけるし、つなはいつも彼を避けようとする。こっちには、そんなふうにされる覚えがないので、三度ばかりつなに訊いてみた。
――いったいどうして私を避けるんです、なにか気にいらないことでもあるんですか。
だがいつもつなは答えをそらした。
――わたくし避けてなんかおりません、あなたのお考え違いでございますわ。
もちろん、そんなことにかかりきっていたわけではない。
かれらには観音谷を監視する仕事があった。万三郎が下男の虎造から聞いたところによれば、古木邸には最後の荷駄が入っていた。それが貯蔵庫へ送られて来る筈である。その転送が終ったということを慥かめたのち、貯蔵庫を焼き払う予定であった。
一方では貯蔵庫と、その付近の地理を探らなければならないし、監視のほうも眼が放せなかった。しぜん、休之助やつなの態度について、ひらき直って訊く折もなかったのであるが、今日は初めから心をきめていたのであった。
つなは一日おきくらいにこの谷へ野草を摘みに来る。
隠れ家が山の中なので、米味噌は買ってあるが野菜がなかった。その谷の日溜りには、捜せばなにかしら草の芽がある。