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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「しかし似てはいるでしょう」

「なんにですか」

「もちろん薺にですよ」

「わたくしをからかっていらっしゃるのね」

つなは怒ってそっぽを向いた。

万三郎は狼狽し、決してからかうつもりなどはない、自分は本当になにも知らないのだ、ということを弁明しようとした。

だがつなは耳もかさなかった。

「どうもふしぎだ、私にはまったくわけがわからない」

万三郎は首を振りながら、

「休さんも貴女もどうしてそんなに怒っているのです、あの晩からこっち、二人とも私にはろくに口もきかないし、話しかけても満足に返辞もしてくれない、――これはいったいどういうわけなんです」

「どうぞそんな大きな声をなさらないで下さい」

つなは冷やかに云った。

「わたくし聾ではございませんから」

「では云って下さい、なぜです」

万三郎はそうたたみかけた。

二

万三郎は辛抱を切らしていた。

――今日こそは聞くぞ。

と決心したのであった。

古木邸からつなを救い出したあと、四人はそのまま結城を去って、休之助の用意した加波山麓の隠れ家へ来た。

それから約三十日も経つが、休之助とつなはずっと万三郎に冷淡な態度を示していた。彼がいまつなに云ったとおり、二人とも彼とはあまり口をきかない。