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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
「私にはなんとも云えない」
やがて徹之助が云った。
「けれども、そこまで考えているなら、ともかく自分の思うとおりやってみるがよかろう」
「有難うございます」
「できたら私のほうと連絡をして、もし困るようなことがあるときには、そう申してよこすがよい、事情の奈何に拘らず、必ず力になるであろうから、――次に半次だが」
そう云って彼は少年を見た。
「そのほうは将来になにか望みはないか」
「――――」
「黙っておらんで、遠慮なく申してみるがいい、いったいなんになるつもりなんだ」
半次は答えなかった。
「ねえ半ちゃん、云いなさいよ」
おちづがおろおろと云った。
「あんたは男だしなにか御相談になって頂くことが」
「うるせえ、黙ってろ」
三
半次は眼も向けずにどなった。
「おめえは、自分の身のふり方せえ考げえてりゃあいいんだ、おいらのことに口を出すな、黙ってろ」
「なにを怒るのだ半次」徹之助が制止した。
「おちづはそのほうを案じて云っているのではないか、なにが不服でそうどなるのだ、甲府へやらなかったのはおちづではない、この私だぞ」
半次は黙って俯向いた。
「――云えないのか、将来どうして身を立てるか、自分に望みはないのか」