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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

二

休之助とつな。

万三郎とかよ。

その席へは中谷兵馬ほか八人も出たし、特に半次とおちづも招かれ、式のあとは賑やかな酒宴になった。

話はもちろん、一年来の奔走のことが中心であるが、すべて極秘という原則から、みんな表現を慎んでいるため、知らない者が聞いていたとしたら、なにを話しているのか理解できなかったであろう。

「しかし、あれですな」

と中途で兵馬が云った。

「今日、老中から恩賞の沙汰がありましたが、その原因である朱雀調べという事実が、灰も残らず堙滅されたというのは、少なからず妙な感じのものですな」

「中谷さんもそう思いますか」

万三郎が酔ってまっ赤になった顔を振向け、いかにも同感だというように頷いた。

「恩賞などというものは、永く記録されるような功績に対して賜わるものなのに、こんどの件は全然、それこそ塵も残らないくらいにかき消されてしまったのですからね、われわれが死ねば、こんな事実があったことさえ知る者がなくなるんですから、そう思うと、――ぜんたいとしてなにかしら妙な心持、ちょっとなんといったらいいか、その」

「どうした、――」休之助がじろっと見て云った。