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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
七
云いざまに、万三郎は刀をあげて斬り込んだ。相手は脱兎のように逃げた。そのとき初めて、馬子がこの騒ぎに気づき、仰天して棒立ちになった。
「斧田さん馬だ」
万三郎はこう叫びながら、逃げる三人をなお七八間も追った。馬子はうろうろし、馬を放して、道から田の中へとびおりた。
斧田又平が馬を捉まえた。
「乗って下さい」
万三郎が叫んだ。
うしろから来る三人も、もう手出しをする勇気はない。万三郎は引返して来て、すでに馬上にいる斧田又平のうしろへ、(鞍外れであったが)巧みにとび乗った。
「おらの馬をどうするだあ」
田の中から馬子が喚いた。万三郎は枝道のほうへと、馬を疾駆させていった。
七
「どこでやられたんです」
馬を走らせながら万三郎が訊いた。斧田は向い風に息が詰るとみえ、とぎれとぎれに答えた。
「結城の手前の江川というところです」
「結城へはまだゆかなかったんですね」
「いやいちどゆきました」
斧田は馬の速度を少し緩めた。
「葛西屋という宿屋へいったんですが、つなさんはいないらしいし、どうもようすがおかしいんです」
「つなさんがいないんですって」
「宿の者はちょっとでかけたと云っていましたが、すぐ帰るから待っているように、むりやり上へあげようとするんです、そして、それは主人らしい男でしたが、そう云いながら眼くばせをすると、下女の一人が