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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

九

とたんに、どかんと来た。

九

「やった、――」

地面に伏したまま、万三郎はそう喚き、両手で頭を抱えた。

そのときは兄たちのことも、斬合いがどうなっているかも考えなかった。

――危なかった。

窓へあがるのがもうちょっと遅かったら、爆発のために吹飛ばされたであろう。火薬と早く気づいたのも幸運であった。

――まったくの命拾いだ。

頭を抱えたままそう思った。

爆発は初め小さく来た。どかんという音がし、閃光がはしった。ついでまたどかんと来、さらに二度、大きく続けさまに轟音が炸裂し、谷ぜんたいが崩壊するかと思うほど、すさまじく大地が震動した。

建物の燃える、ばりばりという音が聞えて来た。

「――終ったな」

と呟くとたん、初めて休之助や斧田のことを思いだし、はね起きてそっちへ走った。

「休さーん、無事ですか」

走りながら叫んだ。

通路は吹き飛ばされた建物の、柱や板片などが散乱し、また、そこらいちめんに人が倒れて、呻いたり泣き声をあげたり、苦しそうに地面を転げまわったりしていた。

燃えあがる焔が、爆発した硝煙に映って、あたりはさながら赤い濃霧に包まれたようである。どっちを見てもまっ赤で、そして息もつけないほどの煙だった。