轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
五
万三郎は悲壮な顔つきで、もういちど下腹に力を入れそれから片方の手で、かよの乳房を押えた。内がわに温たかさを包んで、表面のやや冷たい、指に吸いつきそうな乳房の触感は、――大なる決心にもかかわらず、万三郎を殆んど惑乱させそうであった。
「あらいやですわ」
かよが肩をすくめた。
「そんなふうに触っては擽ったいじゃございませんの、もっと遠慮なしにやって下さいまし、ぐいぐいと」
「もちろん、――やりますよ」
万三郎は眼を脇へ向け、火にでも触るような手つきですばやく乳房をかきあげるなり、右手の指で、(貼ってある膏薬を)さっとひき剥がした。
「あっ、痛い」
かよが叫んでとびあがった。
「まあひどい」
「こ、これは失礼」
「まあひどい」
かよは自分で乳房の下を見た。殆んどふさがっていた傷口の一端から、血が滲み出ていた。万三郎はすっかり度を失い、
「これは悪かった、とんでもないことをしました、貴女が遠慮なくぐいぐいやれと云うもので、ついその、――済みません、勘弁して下さい」
「それにしてもずいぶん邪険になさるわ」
「まったく済みません」
「これで拭いて下さいまし、それから、これが血止め薬ですから、これを先に塗って、それから膏薬を、――」