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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
三
「ああ、あの半次という少年がうまく会えたな」
その手紙を読みながら、徹之助が云った。
「どうかと思って案じていた、たぶんだめだろうと諦めていたんだが、これでみると無事に会っているし、こっちから云ってやった問題も調べ済みだったらしいな」
「なにを云ってやったんですか」
と万三郎が訊いた。
「左近将監さま、――頼興さまの御動静だ」
「だって中谷がいったのは田辺でしょう」
「だから使いを出したんだ」
休之助がそばで云った。
「頼興さまがお忍びで、田辺へしばしば遊猟にいらっしゃる、そういう密報があったんだ」
「休さん知ってたんですか」
「おれは兄上から聞いたんだ」
「なーんだ」
万三郎は口をへの字にした。
「ずっと加波山でいっしょだったのに、いやに知ったようなことを云うからどうしたのかと思った」
「おれが知ったふりをするって」
「やめろ、二人とも黙れ」
徹之助が二人を睨んだ。二人は黙った。徹之助は舌打ちをし、さらに、こんどは手紙のあとを黙読して、終るとそれを万三郎に渡した。
「――半次がなあ、可哀そうに」
読みながら彼は首を振った。こちらでは休之助が長兄に訊いていた。
「江戸邸の中心について、あいつどうしても口を割りませんか」