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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

などと思って、又平は笑いたくなるのをじっと耐えた。

「わしが迎えにいきますかな」

伝右衛門が炉端で云った。

「貴方がたは危ないが、わしなら誰に遠慮もない、よければそう致しますが」

「済まないが頼みましょう」

休之助がすぐに立とうとした。

「いっしょに出て、われわれは途中で待っているから、――慥か大めしといったな、そこへいって呼び出して来て下さい」

伝右衛門が立つと、

「とうとう雪になりました」

と云いながらその若い妻が蓑笠の支度をした。休之助には雨具があるので替え草鞋を与え、又平にも古い蓑笠を出してくれた。

「古くて悪いですけれど、これよりほかにないし、捨てて下すって結構ですから」

彼女は二人に去られるのが、いかにも淋しそうであった。

外へ出ると強い吹雪で、もう地面もまっ白であった。街道へ出たところで、休之助と又平は待つことにし、伝右衛門だけ町へでかけていった。

道の傍らに辻堂がある。ずいぶん古いものらしく、辻堂という字名もそこから出たということであるが、二人はその蔭へ入って、風を除けながら待った。

「江戸も圧迫がひどくなった」

休之助はそう云って、深川の本拠を、浅草の橋場にある和泉屋の寮へ移したこと、日光街道に対する警戒や、かよはじめ五人の者が結城へ来たことなどを語った。