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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「かよというのは、どういう人ですか」

又平は彼女を知らなかった。

「甲野とゆかりのある女で、事情は話す必要もないが、いま敵方に付いていろいろ奔走しているらしい」

「ではつなさんとも知り合いのわけですか」

そう云っているところへ伝右衛門が走って来た。

「そこにおいでですか」

「此処だ、――」

休之助が道へ出ていった。

「大めしにはいらっしゃいませんでした」

伝右衛門は笠や蓑の雪をはたきながら云った。走りとおして来たのだろう、彼の呼吸はひどく荒かった。

「いなかったって」

「いらっしゃらねえし、今日は二人とも一度もみえなかったと云っております」

「屋敷ですね」

又平がすぐに云った。

「虎造といっしょに古木邸へいったんでしょう、きっとそうだと思いますよ」

「それにしては遅すぎる」

休之助はそう呟いて、伝右衛門を振返った。

「いろいろ御苦労だった。ではあとはわれわれで考えるから、もうこれで引取ってもらうとしよう」

「さようですか、では、――どうか首尾よく」

伝右衛門はそう云って、吹雪の中へ去っていった。

四

「ようすだけでもみにゆこう」

休之助は気懸りらしく云った。

「用心の厳しい古木の屋敷へ初めていって、こんな時刻までいるというのは不審だ」