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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
わたくしは足を挫いていましたし、こちらの三人がどれほど強くとも、みんなで無事に切り抜けることは、決してできや致しませんでしたわ、――それができたのは、ただかよさんのお蔭でございましょう」
「しかし待って下さい」
万三郎は手をあげた。あのときの勝負はつなの云うとおりではなかった、勝つと明言もできないが、負けると定ってもいなかった。その点を説明しようとしたのであるが、つなは耳も貸さずに続けた。
「なんのためにかよさんはあんな事をなすったのでしょう、いうまでもなくあなたのためですわ、万三郎さまを愛していればこそ、かよさんはみんなを助けてくれたんですわ、――ただあなたを助けたいばかりに、ね、そうでございましょう万三郎さま」
万三郎はまっ赤になった。
五
「もうこれは、黙ります」
万三郎は太息とともに云った。
「事実はそうではないのだが、貴女の云うことを聞いていると、なにもかもそのとおりで、弁解すればするほどぐあいが悪い、ますます情勢が悪くなるようですから、私はもうなにも云わないことにします」
「そのほうがようございますわ」
つなは冷笑するように云ったが、云いながらさっと蒼くなり、唇がふるえだした。