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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

「――十二人に四人ならお茶の子ですな」

太田嘉助がほくほくした。

「――一人で三人ずつか」

「――甲野さんは見物です」と兵馬も勢い立った。

だがそのとき、万三郎が云いにくそうに、それよりも万全の策を採るほうがよくはないか、という意見を出した。

「――またなにか妙なことを考えだしたな」

休之助は苦い顔をした。

「――万全の策とはなんだ」

「――休さんはすぐ怒るから、話ができやしません」

万三郎は心外そうに云った。

「――いいから云ってみろ」

「――そうせかさないで下さい」

ぐっとおちついて、万三郎が意見を述べた。

それは、鳥沢まで誰か戻って、番所の役人に出張させようというのであった。四人は大目付から、地方巡検使として派遣されたことになっていて、老中、若年寄の判のある手形を持っている。それを役人に示し、紀伊家の荷駄を検査させたうえ、こちらが役人に助力して、かれらを捕えてしまう、というのであった。

「――あの荷駄の中には、なにか武具が入っているに相違ありません、ことによると鉄砲かもしれないので、そうなれば文句なしに縛れますからね」

と万三郎は三人の顔を見た。

「――つまり、双方にけがもなし、血を見ずに済むというわけです」