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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

ぜんたいを秘密裡に抹殺するという、徹之助らの初めからの意図が、閣老によって認められたことを証明するものであった。

紀伊家では頼興を糾問したが、事のやぶれたのを知った彼は、そのまえにすべての書類を焼却しており、糾問に対してもなにごとも語らなかった。

「――余が手をあげてしまえば、あとは棄てておいても事は起こらない、加担した大名もおるが、こうなった以上は、いかように訊問されても断じて口外はしない」

頼興はそう云ったという。

「――フランスに革命が起こったそうで、イスパニアからの援助が来なくなり、そのために挙兵の時期を逸してしまった、……さもなければ、日本国をひっくり返してみせるんだったが」

そして豪快に笑って、

「――まる三年のあいだ楽しい夢をみた、事は失敗したが、三年のあいだ夢を楽しんだ事実は余のものだ、これだけは誰にも手をつけることはできないし、この夢がやぶれた以上、もういつ死んでも惜しくはないぞ」

そう云いきったようすには、事実いつ死んでも惜しくないということが、はっきりあらわれていたそうであった。

紀伊家の内部にいる者たち、――それは橋場から護送した、渡辺蔵人の自供によって捕えられたのであるが、――二十余人が、やはり極秘のうちに処分された。