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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
彼は殆んど偶然に助けられて、幾つかの断片から、この重大な陰謀の存在を発見した。そうしてそのために、まず自分の妻と妻の父親とを犠牲に取られたのである。
また兄を渦中にまきこみ、弟をもまきこんでしまった。しかし、彼は決して後悔してはいなかった。
――火中に死んだ妻や義父には済まない、二人を犠牲にしたことは取返しがつかないけれども、それがあったために、この陰謀が実在するという証明がついた。
まさしく、それは彼にとって骨に徹する証明であった。
――こちらが探索を始めたと気づいて、敵は兄を捕えようとし、(現に兄の家族は捕えられている)また自分と自分の家族を暗殺しようとした、それは陰謀の発覚を恐れたからだ。
けれどもいま、休之助が疲れきってみえるのは、これらの犠牲のためではなかった。
彼は一つの事実をつきとめた。
このところずっと、彼は大久保加賀守の屋敷に隠れている。そこは紀州家の浜屋敷に接していた。休之助は連日連夜、そこから、浜屋敷の海手の動静を監視していた。――大久保家は井伊家がそうであるように、徳川氏譜代の名門であり、この探索には(極秘で)できるだけの庇護を与えてくれた。