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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
現在、加賀守忠明の側近の一人牧田数馬が連絡者として、はまぐり町の本拠に常駐しているくらいである。
「それは慥かなんだな」
徹之助はむずかしい顔をいっそうむずかしくし、怒ったような眼で弟を見た。
そこには二人しかいなかった。
休之助が二人だけで話したいと云ったのである。そうして、彼の話は重大な意味をもっていた。
「二百石積みばかりでしょうか、かなり大きな船が二艘これはずっと沖にいるんです」
と休之助は云った。
「そうして夜になると、五艘ばかりの荷足船で、水門からなにか邸内へ運び込むのです、夜の十時過ぎから、夜明け前三時ごろまで、休みなしに運び込んでいました」
「沖の本船から積下ろすことがわかるのか」
「往復する櫓音でほぼ見当がつきますし、ほかに大きな船が泊っていないのですから、間違いはないと思います」
徹之助はもっと渋い顔をした。
紅雀も、イスパニア文も、浜屋敷で発見された。甲野の家はむろん浜屋敷の中に在って焼かれた。かれらが、「朱雀」という符牒で呼ぶこの陰謀に、浜屋敷がなにかの関わりをもつことは慥かである。
――そうであってはならない。
紀州家は徳川一門であり、御三家の一であった。