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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页

青空文庫

二

と半次は淋しそうに云った。

「それだけじゃねえさ、だっておめえ、もう十五になったんだからな、まえのような恰好をしていちゃわからねえが、そうやってきちんとすると、やっぱし年が出るんだよ」

「そんなふうに云わないでよ」

おちづは羞みながら、ふと悲しげに声を曇らせた。

「それは十五は十五だけれど、おとなびてみえるとすればわけがあるの、あたし今ね、半ちゃん、怒っちゃいやよ」

「おれがなにを怒るんだ」

「今ね、あたし芸妓屋にいるの」

「――芸妓屋に」

「あたし深川の仲町で下地っ子になったのよ」

半次は眼をまるくした。まったく思いもかけなかったし、あんまりいきなりで、継ぐべき言葉もないようであった。

「そんなこと、むろん、あれさ」

半次はまごついて云った。

「むろん、おいらの怒る筋じゃあねえけど、でもいったいどうしてそんな」

「あたしもずいぶん苦労したのよ、半ちゃん」

おちづは縋りつくような調子で、半次が去ったあとの出来ごとを語った。

気がせくので、話は前後したり、脇へそれたりしたが、聞いている半次はすっかりまいったらしい。女衒から女衒の手へ売られてゆくところでは、さも肚が立つというように、呻き声をあげたり、