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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
「四国新聞」1952(昭和27)年12月12日~1953(昭和28)年7月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 页
六
「知っています」
「飛魚という突の秘手で名高かったでしょう」
「和幸のときも見ましたよ」
「ああ、そうでしたね」
慥かに、和幸でかよに捉まったとき、半兵衛が護衛に付いていた。それで兵馬は、かよに当て身をくれて万三郎を救い出すという、手段に出たのであった。
「石黒半兵衛がどうしたんです」
「今夜のことはお聞きですね」
「あらまし聞きました」
「升屋で敵に取巻かれたとき、覆面の剣士が助太刀に現われたんです、それがずばぬけた使い手で、たちまち敵を圧倒したんですが、なに者だか全然わからない、――それがいまわかったんです」
「するとその剣士が」
「まちがいなく、石黒半兵衛だということです」
「しかし、それは、――」
兵馬は疑わしげに云った。
「彼はしかし敵がわの人間でしょう」
「理由があるんです」
と万三郎は説明した。
半兵衛がかよと共に加波山へ現われたこと、渡辺蔵人とかよを争い、焼打ちの夜に、万三郎と刃を合わせたこと。そうして、万三郎が斬ることのできるのに斬らず、(休之助にどなられながら)江戸へ出て更生するようにと、意見をして別れたことなど、手短かに話をした。
「――なるほど、いかにも三郎さんらしい」