轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんせい
新生
島崎 藤村
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页
の言葉が浮んで来る。「アッソシエ」とは生涯の伴侶という意味に当る。そこまで行くということは容易でないまでも、すくなくも彼が節子と共に辿り着きたいと願うところは、多分に「友情」の混った男女の間柄であった。二人が愛情の生い立ちから言っても、これから将来のことを考えても、彼の心は抑えに抑えたものであらねば成らなかった。
しかし、岸本の眼にある節子は最早以前の節子ではなかった。長いこと寂しかった彼の生涯に一輪の花をつけたような節子は最早映像としても全く別の人であった。驚くばかり彼女の身体に延びて来た線、悩ましいまでに柔かく女らしい彼女の表情――彼はそれらの眼にあるものを払いのけて自分の机に対っていることが出来ないばかりでなく、「淋しくて淋しくてお写真を抱いて呼んでいましたのよ」というような彼女の声を払いのけることも出来なかった。自分から節子のために珠数を見立てて贈ったほどの岸本は、この断ちがたい愛着をどうすることも出来なかった。彼はあの深い雪の中に坐ってまでも「自然」を超えようとした人の努力などを想像して見て、それによって自分を励まそうとした。国に帰ってからの二度目の大暑が復たやって来て見ると、熱のために蒸されるものは庭先の草木ばかりでは無かった。