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しんせい
新生
島崎 藤村
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页
百一
「尤も、女中にそんなことを言われて、調戯われて来たらしいんだ」と復た彼は附けたした。
さすがの節子もこの話を聞いた時は何時になく彼女の顔色を変えた。
「きっとあの女中でしょうよ」
と節子はそこに居ない人のことをそれとなく言って見て、無邪気な子供にそんな知恵をつけるとは余計なことをしたものだと言わぬばかりに眉をひそめた。
しかし節子は直ぐに機嫌を取り直した。彼女は岸本を見に来た楽しげな表情に返った。せっせと二人で蒔いたものを漸く収穫れられる時が来たのか、それほど二人の愛情が熟して来たのか、それともまた節子は多年の無気力から岸本は長い旅の疲労から漸く回復する時に届いたためであるのか、いずれとも言うことは出来なかったが、漸くその時になって初めて彼は荒びたパッションから離れ行くことが出来た。深い秋の空気も何となく彼の身にしみて来た。
百一
“Your hands lie open in the long fresh grass, ――
The finger-points look through like rosy blooms:
Your eyes smile peace. The pasture gleams and glooms