轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

四十五

しかしこの世の中には、人情の外の人情というようなものがある、それを自分は思い知るように成って来たと書いてよこした。何故叔父さんの手紙には、「お前さん」というような、よそよそしい言葉で自分のことを呼んでくれるか、「お前」で沢山ではないかと書いてよこした。叔父さんの新橋を発つ朝、自分は高輪の家の庭先から品川の方に起る汽車の音を聞いて、あの音が遠く聞えなくなるまで何時までも同じところにボンヤリ佇立んでいたと書いてよこした。叔父さんの残して行った本箱、叔父さんの残して行った机、何一つとして叔父さんのことを想い起させないものは無い、自分は今机や本箱の置いてある部屋を歩いて見ていると書いてよこした。叔父さんが外遊の決心を聞いてから、自分はかずかずの話したいと思うことを有っていたが、どうしてもそれが自分には出来なかったとも書いてよこした。

四十五

節子の手紙を手にして見ると、彼女と共に恐怖を分ち、彼女と共に苦悩を分った時の心持はまだ岸本から離れなかった。

「ああ、酷かった。酷かった」

岸本はそれを言って見て周囲を見廻した。親戚も、友人も、二人の子供も最早彼の側には居なかった。