轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

そのマドマゼエルは純粋な仏蘭西の婦人ながらに遠く日本を慕って行って、現に東京の方に住んでいた。岸本は番町の友人の紹介で東京を発つ前にその人に逢って来た。その時のマドマゼエルは可成もう日本の言葉が話せて、紫式部の日記ぐらいは読めるような人であった。日本狂とも言いたいほど日本贔負の婦人であった。その人が岸本を紹介してくれたのであった。老婦人は居間の方へ岸本を連れて行った。その室内を飾る種々な道具から絵画彫刻の類まで、老婦人の嗜みに好く調和したような物ばかりであった。窓に近く机の置いてあるところで、老婦人は東京の方にある姪からの手紙を岸本に取出して見せ、

「姪も無事で暮しておりましょうか。すこしは日本の婦人らしく見えるように成りましたでしょうか」と言って、東洋の果を志して行ったマドマゼエルの身を非常に心配顔に岸本に尋ねた。老婦人はマドマゼエルが自分の兄弟の一人娘であることや、彼女が幼い時分から学問好きであったことや、巴里に居る頃から日本留学生に就いて古典の一通りを学んだことなぞをも話した。

岸本は風呂敷包の中から旅のしるしに持って来た国の方の土産を取出した。