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しんせい
新生
島崎 藤村
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页
と言ったような顔付をしましたっけ」
「今が可愛いさかりだね」と岸本も言った。
「あれで大きくなったら、反っていけなくなるかも知れません。ほんとに、まだ子供だ。あそこがまた可愛いところだ」
血気さかんな岡の言うことに岸本は賛成してしまった。
二人の間にはモデルと同棲する美術家達の噂が引出されて行った。旅に来ては仏蘭西の女と一緒に住む同胞も少くはなかった。モデルを職業とする婦人でなしに、あるモジストを相手として楽しく画室住居するという美術家の噂も出た。
「好い陽気に成ったね」
と声を掛けて、屋外の方から入って来た画家があった。
「シモンヌの家へ来たら必と岡が居るだろうと思って、寄って見た――果して居た」とその画家が言って笑った。
「僕等はまた、今々君の噂をしていたところだ」と言って岡も元気づいた。
続いて二三の画家も入って来た。いずれも岸本には見知越しの連中で、襟飾の結び方からして美術家らしく若々しかった。こうして集って見ると、岸本よりはずっと年少な岡が在留する美術家仲間では寧ろ年嵩なくらいであった。
「岡――どうだい」
最初に入って来た画家が岡を励まし慰めるように言った。